第10回 橋本正一さん


1.がんがわかったきっかけについて

2003年4月に会社の定期健康診断にて、WBC(白血球数)1450/mmp3、Hb(ヘモグロビン)10.9g/dl、Plt(血小板数)9.4万と汎血球減少を指摘され、6月2日、現在の横浜市立大学附属市民総合医療センター(以下「横浜市大センター病院」:横浜市南区浦舟町)血液内科を受診しましまた。
 「骨髄異形成症候群(RAEB)」の診断で外来フォローされ、7月10日より発熱を認めましたが、指示薬を内服せずに症状が徐々に悪化。
 7月23日、外来で抗生剤を処方されましたが、効果なく、7月25日、肺炎の疑いで、緊急入院となりました。

入院後、CTにて左下肺野に浸潤影を認め、肺炎と診断。チエナムlg、ミノマイシン200mgの投与を開始しましたが、解熱は得られませんでした。
 抹消血中に芽球を認めなかったものの、病期進行を疑い、7月30日、骨髄穿刺(マルク)施行。
  NCC9.89×10^4、巨核球50.0mm3、芽球49.6%と白血化を確認しました。

2.治療について:治療方針をどのように決定したか?検索した情報サイトがあれば教えてください

骨髄異形成症候群と診断され、その後、早い段階で、急性骨髄性白血病と診断されました。骨髄異形成症候群と診断された時点では、「様子を見ながら骨髄移植を考えた方が良い」と主治医に言われました。
 その時は、漠然とした感じでした。でも事は深刻だと感じました。
 その後、病状が悪化したため、治療方針を考えることなく、治療を開始した感じでした。

骨髄移植は、骨髄移植財団に登録して、移植しました‼️
 当時(約20年前)は、今ほど、SNSやインターネットが普及していなかったように思います。自分の知識不足かも知れませんが、情報サイトが少なかったかと思います。

自分にとって一番の治療方針は、当時の主治医が病気について説明してくれた時に、私一人だけではなく、医療スタッフが、「チームで橋本さんの、病気を治療する」と言ってくれました。
 今は確かに、昔と違い、個人レベルでいろいろな情報を知ることができます。でも自分は、身近にいる主治医をはじめとする医療スタッフが一番の味方だと思います。がんに立ち向かう、一番の治療方針だったように思います。

3.がんを体験したからこそわかったこと、伝えたい思いを教えてください

がんになる前の自分は、がんについて感じていたことは、自分のがんは、「血液のがん=(イコール)白血病」でした。
 自分が子どもの頃に、テレビドラマで、山口百恵さんが演じる「赤いシリーズ」というドラマシリーズがありました。この中に『赤い疑惑』というタイトルのドラマがあります。主人公の山口百恵さんが白血病になるドラマでした。子どもながらに、そのドラマを見ていて、「こんな病気があるなんて…」と思いました。そして怖いと感じた記憶があります。
 その後、『世界の中心出会いを叫ぶ』という映画とテレビドラマがありました。映画の主人公は、女優の長澤まさみさん、テレビドラマの主人公は、綾瀬はるかさんでした。こちらの作品も主人公が白血病になる作品です。

まさか、自分がその後、同じ病気になるなんて、思いもしませんでした。
 白血病の事は、こうした映画やドラマで知っていた程度です。まさか自分が白血病になるなんて、映画ドラマのみた感じを体験するなんて、本当の怖さ辛さは、実際に体験してしまいました!
 映画やテレビでは、身体の辛さは、わかりません。かなりこたえました‼️

自分の現在の職業は、路線バスの運転士です。自分の仕事であってはならないことは、事故を起こしてしまうことです。残念ながら、実際に事故は、起きてしまいます。事故が起きると会社の同僚の中で、言う事があります。
 その言葉は、「明日は、我が身」と。会社の同僚は、口を揃えて言います‼️「自分がまさか、事故を起こすなんて!」心の何処かに、何処か他人ごとに感じている部分があると思います。

がんもまさか、自分がなるなんて、他人ごとに感じている自分が…。がんになる前は特に強かったと思います。バスで事故をまさか、自分が起こすなんて…。がんもまさか、自分がなるなんて…。自分の中で、思うことは、まさか、自分が!“まさか、自分が‼"です。
 伝えたいことは「まさか、自分が」ということです。
 決してがんを他人事だと思わずに、身近に考えていただけたら幸いです。

現在、横浜市大センター病院の造血幹細胞移植の会 院内患者会「勇希の会」代表をさせていただいております。がんになると不安や絶望感があります。患者会では、これからがんに立ち向かう方に対して、少しでも不安を解消させることがでるようお役に立てればと考えています。

横浜市大センター病院 造血幹細胞移植患者会「勇希の会」
https://www.yokohama-cu.ac.jp/urahp/patient/course/yu-kinokai.html