群馬県のがんの状況[地図で見るがん情報]


| 2010-2012年 | 2015-2017年 |

医療圏別 罹患率・死亡率・生存率・進展度の地図

2015-2017年

・罹患率
 一定の期間に新たにがんと診断された数(罹患数)を,対象とする地域の人数(人口)で割ったもので,通常は1年間の10万人あたりの罹患数で表します.対象とする地域におけるがんにかかる危険の大きさを示す指標になります.がん検診が行われている部位では,がん検診の受診率が向上すると,罹患率が高くなることがあります.
 年齢構成が異なる地域間で罹患率を比較する場合や、同じ地域で罹患率の年次推移をみる場合には年齢調整罹患率を使います.この指標は,もし年齢構成が「基準とする人口」と同じだったらと仮定して計算される罹患率です.「基準とする人口」には,国内では通常昭和 60 年モデル人口(昭和 60 年人口をベースに作られた仮想人口モデル)が用いられ,国際比較などでは世界人口が用いられます.
 群馬県のがんの状況では,年齢調整罹患(死亡)率を使用して比較しています.

・生存率
 診断から一定期間後に生存している確率を生存率と言い,治癒の目安として5年生存率がよく使われています.がんの生存率は,がん検診の受診状況や中核病院におけるがん治療の成績を反映するがん対策の客観的な指標で,がん登録以外の方法では計測することができません.しかし,以下に示すようなさまざまな要因で生存率を誤って判断することがあるので,注意が必要です.
 高齢者ではがん以外の病気にもかかっている場合が多く,それが直接の死因になることがあります.がん以外の病気のためにがんの治療が十分に行えない事もあるでしょう.また,同じがんであっても罹患した年齢によって悪性度に違いがある場合があります.年齢構成は生存率に影響を与える要因になります.
 女性は乳がんや子宮がんといった予後の良いがんが多いため,全部位の生存率では地域における男女比の影響を受けます.また,特定の部位のがんであっても,男女で悪性度に違いがある場合は,性別構成の影響を考慮する必要があります.
 診断技術が向上したことで,小さな転移巣を見つけられるようになり,正確なステージ(病期)の診断が可能になりました.ステージ別生存率の年次推移をみる場合には,診断が正確になるにつれて,より高いステージのがんが混ざっていた状態から,そのようながんが除かれていくので,治療が進歩していなくても生存率が向上したように見えることがあります.(群馬県のがんの状況では,男女別に集計していることや年次推移は表していないことから,性別や診断技術の注意は必要ありません.)
   最近の治療技術を反映した生存率を反映するために、地図表示ではPeriod 法を用いています。

・死亡率
 一定の期間に,死亡診断書の直接死因ががんであった数(死亡数)を,対象とする地域の人数(人口)で割ったもので,通常は1年間の10万人あたりの死亡数で表します.対象とする地域におけるがんで死亡する危険の大きさを示す指標になります.
 死亡率は,がんの罹患とその後のがん検診,診断,治療の全てに影響を受ける指標です.死亡率ではがんと診断された時期は特定されないので,罹患時期により治療成績や生存率がさまざまに異なったがんの死亡を集計していることになります.高齢者ではがん以外の病気にもかかっている場合が多く,それが直接死因になることがあります.

・年齢調整罹患率(2015-2017年)
・75歳未満年齢調整死亡率(2015-2017年)
・5年相対生存率(2015-2017年)
・進展度(2015-2017年):上皮内癌と大腸の粘膜内癌を除く。
・限局/遠隔転移比
    進展度の限局の数と遠隔転移の数の比をとります。
    数値が大きいほど早期がんが多く、生存率が高くなります。

胃がん

胃がん男性
沼田医療圏の生存率は良好ですが,罹患率が高いために死亡率も高くなっています.1次予防が重要な医療圏です.
富岡や伊勢崎医療圏の生存率は低く,罹患率は低めなのに死亡率は高めです.特に伊勢崎は遠隔転移の割合が高いので,2次予防が重要です.
渋川と吾妻医療圏は,罹患率に対して死亡率が低いという特徴があります.渋川医療圏の限局/遠隔転移比は高くて良好ですが,吾妻医療圏は低いので2次予防が重要です.
前橋や高崎医療圏は限局/遠隔転移比が高く良好です.特に前橋は生存率も良好です.両医療圏ともに死亡率は低めで比較的良好です.
桐生医療圏の罹患率は低めですが,遠隔転移割合が大きいために限局/遠隔転移比が低くなっています.藤岡医療圏は限局割合が小さいために限局/遠隔転移比が低くなっています.ともに2次予防が重要です.太田/館林は罹患率と死亡率が高めですが生存率や限局/遠隔転移比は平均的な医療圏です.

胃がん女性
吾妻医療圏は生存率が高く,対象期間での75歳未満の死亡率は0でした.
藤岡や富岡は罹患率や死亡率が低く,限局/遠隔転移比が高い医療圏です.富岡医療圏の生存率は低めです.
高崎や伊勢崎医療圏は,遠隔転移割合が大きいために限局/遠隔転移比が小さくなっています.さらに高崎は生存率が低い医療圏です.両医療圏とも罹患率に比較すると死亡率が高いので,2次予防が重要です.
前橋や沼田や太田・館林や桐生医療圏は罹患率が高い点と,生存率は比較的良好である点が共通しています.1次予防が重要です.桐生は死亡率も高い特徴があります.
渋川医療圏は罹患率に対して死亡率は低めですが,生存率が低いことが課題です.

大腸がん

大腸がん男性
伊勢崎医療圏の罹患率は低いのですが,死亡率は平均的な値です.限局/遠隔転移比が小さく生存率が低いことが問題点です. 2次予防が重要です.
藤岡や富岡医療圏は罹患率に比べて死亡率が低いという特徴があります.富岡医療圏は低い生存率が課題です.
渋川医療圏の罹患率は低めです.特徴は,遠隔転移割合が大きく限局/遠隔転移比が小さいのに生存率は高いことです.2次予防で遠隔転移割合を下げるのが良いと思います.
前橋医療圏は生存率が高いのが特徴です.高崎医療圏も生存率が比較的高いのですが,罹患率が高いために死亡率も高くなっています.1次予防が重要です.吾妻医療圏は高い罹患率や死亡率が特徴で,生存率は平均的です.1次や2次予防が重要です.桐生医療圏の罹患率は高いのですが,死亡率は平均的でした.1次予防が重要です.
沼田や太田・館林医療圏の罹患率や死亡率は平均的ですが,限局/遠隔転移比は良好でした.

大腸がん女性
渋川は罹患率が高めですが,特に死亡率が高い医療圏です.生存率が低いので2次予防が重要です.
藤岡医療圏は罹患率が高いのですが,限局/遠隔転移比が高く生存率も高いのが特徴です. 1次予防が重要です.
富岡や吾妻や伊勢崎医療圏は罹患率も死亡率も低値です.しかし,吾妻や伊勢崎医療圏は遠隔転移割合が高いために限局/遠隔転移比が低い傾向にあります.2次予防が重要です.また,富岡医療圏は生存率が低いという課題があります.
桐生医療圏は,限局割合が小さく遠隔転移割合が大きいために,限局/遠隔転移比が低くなっています.しかし,生存率は比較的高く,死亡率は低めです.
前橋,高崎,太田・館林,沼田医療圏は,罹患率や死亡率が県全体から大きく外れてはいない医療圏です.前橋医療圏は限局割合が大きく生存率が高い特徴があります.高崎医療圏は罹患率が高めです.沼田医療圏は遠隔転移割合が低いのが特徴です.太田・館林医療圏は遠隔転移割合が低いのが特徴ですが,罹患率に対して死亡率が高めです.

肺がん

肺がん男性
吾妻医療圏は罹患率が著しく低いのですが,死亡率が抑えられず平均的な値です.生存率は平均的な値です.
富岡医療圏は限局/遠隔転移比が大きく生存率は高い値です.死亡率が抑えられて低くなっています.
沼田の罹患率は高いのですが,死亡率は低い医療圏です.限局/遠隔転移比は小さいが生存率は平均的です.将来を見据えた1次予防が重要です.
藤岡や伊勢崎や桐生や太田・館林は,限局/遠隔転移比が比較的小さく生存率が低い医療圏です.また,死亡率が高いという特徴も認めます.特に藤岡の生存率は低く,死亡率は高い医療圏です. 2次予防が重要です.
前橋は罹患率が特に高い医療圏です.生存率は高めで死亡率は平均的です.将来を見据えた1次予防が重要です.渋川は罹患率や死亡率は平均的ですが,生存率が高い特徴があります.高崎医療圏はどの指標も平均的な値でした.

肺がん女性
桐生医療圏は罹患率や死亡率は比較的低いのですが,限局割合が小さいことから限局/遠隔転移比が小さく,生存率が低い値です.太田・館林も同様の傾向を認めます.
吾妻と伊勢崎の罹患率は低いのですが,死亡率が比較的高い医療圏です.特に吾妻医療圏は遠隔転移割合が大きいために限局/遠隔転移比が小さいのですが,生存率は平均的です.2次予防が重要です.
藤岡の罹患率は比較的低いのですが,死亡率は高い医療圏です.限局/遠隔転移比は平均的な値ですが,生存率は低めです.2次予防が重要です.
沼田や前橋や富岡は罹患率が高いのですが死亡率は低めに抑えられている医療圏です.特に前橋と沼田医療圏は,限局/遠隔転移比が大きく生存率が高いのが特徴です.将来を見据えた1次予防が重要です.
高崎や渋川医療圏は死亡率が比較的高めですが,他の指標は平均的な値でした.

肝がん

肝がん男性
富岡は罹患率や死亡率が低い医療圏です.吾妻も死亡率が低い医療圏ですが,富岡医療圏は生存率が低く,吾妻医療圏は逆にやや高めである点が異なります.
伊勢崎と桐生は罹患率がわずかに低め,死亡率がわずかに高めの医療圏です.ともに生存率は低めです.
藤岡医療圏は罹患率や死亡率が高く,特に生存率が低いことが課題です.1.5次予防が重要です.
沼田医療圏は罹患率や死亡率は平均的です.生存率が高いことが特徴です.渋川も生存率は高いのですが,罹患率や特に死亡率が高い医療圏です.
前橋医療圏は罹患率が高いのですが死亡率は平均的な値です.生存率は高めです.1.5次予防が重要です.高崎や太田・館林医療圏の罹患率や死亡率や生存率は平均的な値です.

肝がん女性
富岡は死亡率が低い医療圏です.罹患率や生存率は平均的な値です.
渋川は罹患率と死亡率が高い医療圏です.生存率は高く良好です.
吾妻と沼田は,罹患率は低めですが死亡率は高めで,特に吾妻は死亡率が高い医療圏です.両医療圏ともに生存率は低く,特に吾妻は低値です.
桐生と太田・館林は罹患率や死亡率が低い医療圏です.しかし生存率が低めであることが課題です.
前橋や高崎や藤岡や伊勢崎は,死亡率が平均的な医療圏です.罹患率は伊勢崎医療圏をのぞいて高く,特に藤岡医療圏は高率です.1.5次予防が重要です.生存率は高めで特に高崎医療圏は高値です.

前立腺がん

前立腺がん男性
藤岡医療圏は,限局割合が小さく遠隔転移割合が大きいので限局/遠隔転移比が小さくなっています.生存率は低く死亡率は高い値です.
富岡医療圏は,限局割合が大きく遠隔転移割合が小さいので限局/遠隔転移比が大きくなっています.生存率は高く死亡率は低い値です.
前橋や渋川や伊勢崎医療圏は,罹患率が高いのですが,死亡率は平均的かやや低めです.遠隔転移割合が小さいので限局/遠隔転移比が高く,渋川医療圏以外の生存率は高めの値です.
太田・館林や桐生医療圏の罹患率は低いのですが,生存率が低めで死亡率がやや高めなのが課題です.
吾妻や高崎も罹患率が低い医療圏です.吾妻医療圏は限局割合が小さく遠隔転移割合が大きいので限局/遠隔転移比が小さいのですが,生存率は平均的な値です.
沼田医療圏の罹患率は低めです.限局割合が大きく生存率は高いのですが,死亡率は高い値です.

子宮がん

子宮がん女性
富岡医療圏の罹患率は低い値です.限局割合が大きく遠隔転移割合は小さいので限局/遠隔転移比は著しく高くなっています.生存率は高く死亡率も低く抑えられています.
沼田医療圏の罹患率は低い値です.限局割合が小さく遠隔転移割合は大きいので限局/遠隔転移比が小さく生存率も低くなっています.死亡率が高いので2次予防が重要です.
伊勢崎と太田・館林医療圏は罹患率が高いのですが,生存率が高く死亡率が平均な値に抑えられています.1次予防が重要です.
前橋と高崎医療圏は罹患率に対して高い死亡率を認めます.高崎医療圏は生存率も低めです.2次予防が重要です.
藤岡と桐生医療圏の死亡率は低めですが,生存率が低めであることが課題です.藤岡医療圏は隣接臓器浸潤以上の割合が大きい一方で限局割合が小さいので,2次予防が重要です.
渋川と吾妻桐生医療圏は罹患率も死亡率も低めです.吾妻の遠隔転移割合が大きいので,2次予防が重要です.

乳がん

乳がん女性
藤岡は限局/遠隔転移比が著しく大きいのですが,生存率は低めの医療圏です.罹患率は高めですが死亡率は低めに抑えられています.
桐生医療圏の罹患率は低めですが死亡率は高い値です.限局割合が小さいのですが生存率は平均的です.
富岡と吾妻は罹患率も死亡率も低い医療圏です.富岡は遠隔転移割合が大きいのですが,両医療圏とも生存率は平均的な値です.
沼田医療圏は罹患率が高値です.前橋や渋川医療圏も罹患率が高めです.3つの医療圏の生存率は高く,前橋や沼田は死亡率が低めに抑えられています.
高崎医療圏は罹患率と死亡率がわずかに高めです.生存率が低いので2次予防が重要です.
伊勢崎医療圏は,限局割合が小さく遠隔転移割合が大きいので,限局/遠隔転移比が小さく生存率は低めです.太田・館林医療圏も限局/遠隔転移比が小さいのですが生存率は平均的な値です.

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