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神経芽細胞腫マススクリーニングの有効性を評価するための研究

分野 1.がん対策・企画(1次予防),2.がん検診(2次予防),5.疫学研究・研究推進
活動時期 1997年~2013年
活動地域 大阪(全国協同調査:大阪、宮城、千葉、神奈川、愛知、兵庫、広島、長崎)
活動主体 共同研究
 
背景 わが国では神経芽細胞腫(NB)対策として、1歳以降の進行例の減少を目的とした満6か月児を対象とするマススクリーニング(MS)が国の事業として実施されている。ところが、カナダのケベック州における調査研究では、MSは0歳児の罹患率を増加させるのみで、1歳以降の罹患率減少に寄与しなかったことが報告された。MSはNBの自然退縮例を余分に発見する一方、予後不良症例の早期発見効果が小さい可能性がある。臨床の現場では、MSで発見された患者に対し、一定の条件を満たす場合には無治療で観察することも行われるようになり、MSの実施が、逆に患者、家族および医療従事者の肉体的・精神的負担となっている。
主な活動内容 1. MS実施状況を、定量法、定性法別に把握する。 2. MSによる罹患・死亡減少効果の有無およびその大きさと、過剰診断による負の効果の大きさとを計測する。具体的には神経芽細胞腫の罹患率・死亡率の動向について、診断年別および出生コホート別に観察する。 3. 神経芽細胞腫患者の生存率の推移を観察する。 4. 他の府県市についても同様に観察し、比較するとともに、全国における傾向を推測する。
成果 1. 年齢調整罹患率は、MS導入後に著しく増加し、1990-94年には導入前の3倍以上に達した。年齢調整死亡率は、この期間に目立った変化がなかった。 2. 年齢階級別罹患率をみると、0歳では1990-94年に導入前の10倍に増加し、1-4歳罹患率も、むしろやや増加していた。 3. 出生年別にみると、定量法によるMS導入後の罹患率は、0歳で導入前の8.6倍に有意に増加し、1歳および2-4歳でも、やや増加していた。死亡率は、0-4歳で導入前の0.8倍に減少した。 4. MSで発見されうる0-1歳患者を除いた2-14歳患者の5年生存率は、18.4%から46.3%に有意に向上していた。死亡率の減少の大部分は、治療の進歩による生存率の向上により説明されうることを確認した。 5. 協同調査では、上記のうち年齢調整率、年齢階級別率および生存率について、他の地域においても大阪と同様の傾向が観察された。 6. 出生コホート別解析において、1-4歳罹患率は、7登録中4登録で増加、3登録で減少していた。ただし、後者はいずれも人口規模の小さい地域であり、偶然変動の可能性がある。
導入および確認された制度・法律・学説 ---
主要文献 ---
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